「8時間睡眠を目指すべき」神話が崩壊したワケ

「8時間睡眠を目指すべき」神話が崩壊したワケ

時計をした手と海

理想の睡眠時間は8時間”と昔からよく言われてきました。

しかしこれが全く根拠のない理論だとしたらどう思われますか?

人間が健康のために取るべき睡眠時間は8時間ではない理由を今回はご紹介します。

実は年齢ごと、人それぞれに違う「必要睡眠時間」があるのです。

ぜひこの記事を読んでご自身に最適な睡眠時間を割り出してみましょう。

 

「8時間睡眠」が正しくない2つの理由

1,『年齢によって必要な睡眠時間は変わってくる』

イスで眠る老人

最初の理由はコレです。

近年こうした年齢別の睡眠時間に関するデータはネット上にも増え、最近もアメリカの医療専門家委員会が正式に発表したものがあります。

 

アメリカの専門家委員会が推奨する年齢別睡眠時間

新生児(0~3カ月): 14~17時間(以前のデータでは12~18時間)

乳児(4~11カ月): 12~15時間(以前のデータでは14~15時間)

よちよち歩き(1~2歳): 11~14時間(以前のデータでは12~14時間)

未就学児(3~5歳): 10~13時間(以前のデータでは11~13時間)

就学児(6~13歳): 9~11時間(以前のデータでは10~11時間)

ティーンエージャー(14~17歳): 8~10時間(以前のデータでは8.5~9.5時間)

ヤングアダルト(18~25歳): 7~9時間(新たな年齢カテゴリー)

成人(26~64歳): 7~9時間(変更なし)

高齢者(65歳以上): 7~8時間(新たな年齢カテゴリー)

出典:huffingtonpost.jp

こうして見ると一目瞭然ですが、赤ちゃんや成長期の子どもがよく眠るのは当然ですし、活動量が少ない高齢のおじいちゃんおばあちゃんの睡眠時間が短くなることも、実はすでに多くの人が知っていることではないでしょうか。

さらにこのデータはアメリカのものであり、国によって平均睡眠時間は大きく違ってきます。

日本の高齢者は「6時間も眠ると必ず起きてしまう」という方も珍しくなく、日中の活動量が減った健全な高齢者なら重大な問題ではないということです。

ここだけでも「8時間睡眠を老若男女が目指す」という理論には根拠がないわけです。

 

2,『必要な睡眠時間には個人差がある』

別々の時を刻む時計

言われてみれば当たり前ですが、“毎日必要な睡眠時間”は人によってバラバラ

1日3~4時間の睡眠で支障がない「ショートスリーパー(短眠者)」もいれば、9時間以上寝ても寝足りないと感じる人もいます。

人間が健康になるために、“これをやっていれば絶対大丈夫”という方法はありません。

「睡眠」というジャンルにおいても同様、個人個人「最適な睡眠時間」は違うわけです。

 

にも関わらず“健康のためには8時間睡眠”というコトバの強迫観念に駆られ「8時間寝ないと体に悪い」「最近寝れてない」と思い込んで睡眠障害になっていく方もいるほどです。

  • 2009年「OECD(経済強力開発機構)」の調査で、『7時間50分』。
  • 2011年総務省の調査では、全年齢平均『7時間42分』。

これが近年の日本人の平均睡眠時間です。

“8時間睡眠に近い”ように感じられるかもしれませんが、これは“全年齢”が入った上に“個人差も平均した”統計データ。

「一個人の必要睡眠時間を導き出す手引」とはなりません。

 

国立精神・神経医療研究センター部長 三島和夫先生は著書『8時間睡眠のウソ。』の中でこう語っています。

「本当に、これ(8時間睡眠)は誰が言い始めたのかわからないんです。体内時計の25時間周期の話でしたら先行研究があったわけですが、こっちはそれもないんですね。8時間眠るのがよい睡眠だというのは、嘘ですよ。必要な睡眠時間は年齢によっても変わってくるし、そのうえで個人差もあるわけです。」

 

最適な睡眠時間の見つけ方

メモを取る男性

睡眠時間はひとりひとり違っているので、それを見つけるためには「自分の睡眠記録」をとってみるのがおすすめの方法です。

厳密には様々な方法がありますが、まずは簡単でも「睡眠記録」をとってみることが大切。

自分が何時に眠りに入って、翌朝何時に起きたか?起床時の気分は?などをノートやスマホにメモして、夜にその日の活動パフォーマンスも記しておく。

こうすることで、何時間寝た日が朝スッキリ起きられ、日中の活動パフォーマンスも良かったのかということがわかります。

なかなか続かなそうだなという人は、「睡眠計測アプリ」や「睡眠計測できる腕時計」を使ってみるのもいいかもしれません。

(仕事の疲労・ストレスや、アルコールを含めた食生活の乱れ等が睡眠に悪影響を与えない状況で行うことが好ましいです。)

5時間睡眠で問題ないかもしれません。

平均的な6時間15分かもしれません。

人より長く7時間45分かもしれません。

その時間で寝不足感なく快適に生活できるなら、それが“あなたにとっての理想の睡眠時間”。

気持よく眠る女性

「8時間寝ないと体に悪い」

そう思い込んで眠れなくなる前に、まずは“自分の睡眠時間”を見つけてみましょう。

自分だけの睡眠時間がわかれば振り回されずに安心して眠れます。

「8時間睡眠が必要」という話は科学的に根拠がないことをひとつ覚えて、快眠への足がかりにしてみてはいかがでしょうか。

 

※参考文献:「8時間睡眠のウソ。(日経BP社)」三島和夫/川端裕人 「不眠の悩みを解消する本」三島和夫著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

アーカイブ

ピックアップ記事

  1. 太陽光が差し込むベッドルーム
    眠れない「不眠症」改善のための対処方法 “日本人の5人に1人は不眠症“とも言われるほど深刻な「不眠…
  2. 不眠症で眠れない男性
    「不眠症」で眠れない人のための基礎知識 出典:weheartit 男性から女性まで年齢を…
  3. 数種類の薬の画像
    どちらが効果ある?「睡眠薬」と「睡眠改善薬」の違いとは? 不眠症に悩まされる人にとって「睡…
2024年4月
« 10月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
ページ上部へ戻る