「夏場ガマンできないほど足がほてって眠れない」という人は案外多いものです。
単純に部屋の気温と一緒に足の温度も上がることが原因と思いがちですが、実は体の冷えによって起きている面もあります。
今回は足のほてりを引き起こす原因と対策についてご紹介します。
睡眠中の体温変化が充実した眠りのカギ
人間の眠っている時の体温変化にはパターンがあり、それに正しく沿っているかどうかが充実した眠りの1つのポイントです。
夜18~20時に1日の中で最高体温を迎えた以降は少しずつ下がっていき、眠りに入ると体温の低下は加速。
そして早朝の午前4~5時頃に最低体温となり、そこからは起床へ向けて体温が上昇していくという流れです。
起床時から活発に動きやすいようこのような体温調節が睡眠中に起きています。
睡眠中の体温調節は手足からの放熱
睡眠中に体温を下げる働きを担うのは「手先」「足先」の体の末端部分です。
眠りに入り始めるころから手足の血管が広がって末端から熱を放出するようになります。
この働きによって睡眠中の体温低下がスムーズに行われます。
ここで室温が高すぎたり、熱い温度のお風呂に入って体温が上がりすぎていると体温調節がうまくいきません。
すると、
- 寝つきが悪くなる
- 夜中に目が覚める
など睡眠を妨害する原因につながってしまいます。
「寝室の温湿度」と「湯船の温度」を最適に保つ
睡眠中の自然な体温低下を妨げないためには「寝室の温湿度」と「湯船(お風呂)の温度」が重要です。
季節ごとの最適な寝室環境
まず夏と冬それぞれの最適な寝室温湿度を見てみましょう。
- 冬の寝室の温湿度:「16℃前後、湿度50~60%」
- 夏の寝室の温湿度:「26℃、相対湿度50~60%」
上記が季節ごとの最適な温湿度環境です。
夏にまったくクーラーをつけない、冬は布団だけで寒さをしのいでいる、という人は寝室の温湿度環境が原因で眠りが浅くなっている可能性があるので要注意。
湯船の温度と入浴時間
眠る前に体温が上がりすぎてしまうと”交感神経の興奮”なども誘発され、スムーズな睡眠をさらに妨害することにつながってしまいます。
湯船(お風呂)の温度は「ややぬるめ」が基本です。
【39℃±1℃(=38℃~40℃)】が体温を上げ過ぎない程度の適温と覚えておきましょう。
さらに入浴時間は”15分程度”にしておくと、睡眠前に最適な体温上昇につながり眠りに入りやすくなります。
(どうしても熱いお風呂じゃないと入った気がしない、という方は寝る2~3時間前までに入浴を終わらせておきましょう。)
夏に足がほてって寝られないもう一つの原因とは?
部屋の温度や体温上昇以外に”足のほてり”につながる原因が「体の冷えによる自律神経の乱れ」です。
仕事中にクーラーを長時間浴び続けるとどうしても体が冷えてしまいます。いったん冷えてしまった体は簡単に暑い外気温に合わせることができず、自律神経の働きが乱れます。
睡眠時の自律神経バランスは基本的に「副交感神経」が優位になって体を休めています。(※レム睡眠中は交感神経優位になっています。)
しかし、体が冷えて自律神経が乱れていると睡眠時に「交感神経」と「副交感神経」がうまく切り替わらず、興奮を引き起こす「交感神経」優位の状態で眠りに突入します。
「交感神経」は血管を収縮させ血液の流れが悪くなり、手先・足先の末端部分にも熱がたまって”ほてり”につながるというわけです。
自律神経の乱れによる「足のほてり」の解消法
”足がほてっているなら冷やすべき”と考えがちですが、「体の冷えによる自律神経の乱れ」が原因の場合はむしろ逆です。
ストレッチやウォーキングなどで軽く体を動かしたり、あえて少し熱めのお風呂に入るなどして体温上昇を意図的に上げることで自律神経の乱れを整えることにつながります。
また、”とにかくほてって眠れない”という時の応急処置としては「タオルに巻いた保冷剤」なども有効です。
冷やし過ぎにならないよう少しひんやりする程度を目安に足にあてましょう。
足がほてった状態ほど寝苦しく不快なものもありません。
睡眠の質も低下してしまいますから、足のほてりが原因で眠れない人はぜひ今回の知識を使って睡眠環境を整えてみてはいかがでしょうか?