睡眠に関する障害は大人だけでなく子どもにも存在します。
体が成長段階にある子どもは睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠障害などになることも珍しくありませんが、症状や原因を知っておくことで対処できるものもあります。
子どもに迫る5つの睡眠障害について詳しくご紹介します。
知っておきたい5つの子どもの睡眠障害
1,「乳児突然死症候群(SIDS)」
子どもが睡眠中に突然死んでしまうことを「乳児突然死症候群」と呼びます。
発症の多くは1歳以下で、10~12週齢で最もリスクが高まります。産まれて4週間ほどの新生児には見られず、男の子に多い症状と言われています。
寝るときの姿勢が、”うつ伏せ・即臥位”などをとっていると「乳児突然死症候群」の危険が高まります。
残念ながらはっきりした原因が特定されていないため予防法が確立されていないのが現状です。
そんな中でも、
- 「胎児期・乳児期のタバコの煙」
- 「妊娠中の母親の継続的飲酒」
- 「早産・多胎妊娠の経験がある母親」
といったケースで発症の危険に結びつきやすいため注意が必要です。
2,「閉塞性無呼吸症候群(睡眠呼吸障害)」
閉塞性無呼吸症候群は、
- 小児はアゴの発達が完成していないために睡眠中に舌根が落ちやすい
- 筋緊張の低下によって気道が狭くなりやすい
といった子ども特有の原因で発症しやすい傾向にあります。
睡眠の質に悪い影響をおよぼすことから昼間強い眠気に襲われ、
- 学習障害(成績の低下)
- 心身の発達遅延
- 多動性の行動障害
など重大な障害につながります。
子どもが日常的にいびきをかいて、眠っている間に呼吸が停止するようなことがある場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
3,「しつけ不足睡眠障害症候群」
乳幼児期の就寝・起床時刻の正しいコントロールができていないと「しつけ不足睡眠障害症候群」に陥る可能性が高まります。
- 眠る時間になっても子どもを寝かせない
- 朝起きる時間も安定しない
など基本的な睡眠ルールを子どもが覚えていない状態で、いわゆる”親のしつけ”に問題がある場合に起こります。
毎日の眠る時間・起きる時間を親がコントロールできていないと、どんどん眠る時間が遅くなり寝ようとしなくなります。
子ども達の心身の発達を妨げる原因になったり、次に紹介する「小児の概日リズム睡眠障害」を引き起こすなどの危険もあり、親の認識と適切な行動が求められます。
4,「小児の概日リズム睡眠障害」
理想的かつ安定した時間帯に睡眠をとらないために生体リズムに異常をきたすことを、”小児の概日リズム睡眠障害”と呼びます。
決められた時刻に起きられず社会不適応になってしまう青年期の”睡眠位相後退症候群”が発症する原因は、小児の頃に寝る時間が遅かったことが関係すると言われています。
- 自閉症の子ども
- 不登校の子ども
にも”概日リズム睡眠障害”が見られる場合が多く、不安定で遅い就寝時刻は後々まで悪影響をおよぼす危険が潜んでいます。
親の生活パターンや仕事が不規則であっても、できる限り子どもの睡眠リズムを安定させることがとても重要です。
5,「睡眠時随伴症状」
睡眠中に寝ぼけて行動したり、おねしょや歯ぎしりなどを起こすのが「睡眠時随伴症」です。
- 「睡眠時驚愕症(夜驚)」
- 「睡眠時遊行症(夢中遊行・夢遊病)」
- 「睡眠時遺尿症(夜尿)」
- 「レム睡眠行動障害」
- 「睡眠時の歯ぎしり」
- 「睡眠中の寝言」
といった6つの代表的な症状にわかれますが、成長とともに自然に治るケースも多いと言われています。
症状が重い場合やあまり長期間続く場合は、睡眠の専門医に相談しましょう。
各症状の詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
最後に
子どもの睡眠障害にもさまざまな症状が存在します。
原因が特定できないものがある一方で、適切な対処で予防・改善できる症状もあります。
「ただの寝不足」や「だらしない性格」などと安易な判断をくだしてしまうと、子どもの社会性・学習能力・健康に大きな影響を与えかねません。
子どもの睡眠障害は落ち着いて症状を見極めるようにつとめつつ、判断に迷う場合は睡眠の専門医をはじめとした医療機関を受診しましょう。